杉岡でございます。

今回も前回に引き続き、後日談の方を投稿させていただきます。
残念ながらエロはございません。
『なんとなく、切なくとも前向きなモノを書きたくなる病』が発動した結果です。


さいごのこいC

 

彼女が去ってから、抜け殻のような日々が続いていた。

僕の携帯にはかけられないままの電話番号と、彼女が消さなかったたった一枚の写真だけが残っていた。

 場所はなんてこともない近所の公園、はじめてのデートだっていうのに本当にしょぼいところを選んでしまったと僕は後悔していたのに、彼女は楽しそうにしていた。

 その時に二人で撮った一枚の写真。唯一残ったこの写真が、今の僕に残った僅かな希望だった。

 

 

 結局、彼女を探すことも、彼女に電話をかけることもできず僕は学院を卒業した。

 

 僕は卒業証書を手にもったまま、無意識にあの公園に向かっていた。

 今更何も期待していない。ただ、ここだけが僕に残った学院での思い出だった。

ブランコに揺られながら僕はただぼぅっとしていた。

頭に浮かぶのはこの公園で彼女がはしゃぐ姿と笑顔だけ。

 ふと、携帯に着信を告げるランプが点滅していることに気がついた。

 開いて確認すると着信はついさっきだったらしい。登録されていないアドレスからのメール。そのアドレスには見覚えがあった。

『いつか、どこかで いつか、必ず』

 それだけのメール。だけど僕は確信していた。

 ブランコから立ち上がり、周りを見回す。

 ……もちろん僕には彼女を見つけることはできなかった。

 ただ、いつもよりも爽やかな風が吹いたような気がして、僕は家路に着いた。

 

 玄関のポストに赤いスカーフが挟まっていた。

 僕はそれを引き抜くと、小さく

「ただいま」

 と呟いた。